“脱パワー路線”の真意――「怪物」から「踊り手」へのコンセプト転換
BABYMONSTERはデビュー以来、圧倒的なボーカルパワーとラップスキルを前面に押し出す「パワー路線」で知られてきた。『SHEESH』『DRIP』と作品を重ねるごとにその強度を上げてきた彼女たちが、3作目で「踊り」そのものを主題に選んだのは明確な路線転換だ。
ヤン・ヒョンソク代表は『CHOOM』について「これまでに見せたことのない、まったく新しいアルバム」と発言。YG公式は本作のコンセプトを「音楽とダンスが一体になる、ゾクゾクする瞬間を捉えた作品」と説明している。
ビジュアルコンセプトにもその意図は表れている。ティーザーポスターではマグショット風のスタイリングが採用され、「Charged with a crime of dancing too excitedly(楽しく踊りすぎた罪で起訴)」というコピーが添えられた。ニュース速報風のフレーミングと合わせ、”踊ること自体が反逆”という挑発的なメッセージを打ち出している。
この転換には2つの戦略的意図が読み取れる。
- パフォーマンス市場での差別化:第4世代以降、ボーカル重視のグループが乱立する中、「振付と楽曲の融合」を最大の武器に据えることで独自ポジションを確立する狙いがある
- ツアー映えの最大化:パワーボーカル中心の構成よりも、ダンスパフォーマンス主体の楽曲はライブ会場での視覚的インパクトが大きく、5大陸ツアーを控えた今、「見せる」楽曲が必要だった
5大陸ワールドツアー――デビュー2年目で欧州・南米・オセアニア初上陸
2026年6月に開幕する「2026-27 BABYMONSTER WORLD TOUR」は、アジア・北米・南米・ヨーロッパ・オセアニアの5大陸を巡る大規模ツアーだ。南米・欧州・オセアニアはグループ結成以来初の訪問となる。
ツアーはソウル公演からスタートし、日本では神戸・福岡・横浜・千葉・名古屋・大阪の6都市を巡回する予定。その後、北米・南米・欧州・オセアニアへと拡大するが、アジア圏外の具体的な都市名と日程は2026年4月19日時点では未発表だ。
前回の初ワールドツアー「HELLO MONSTERS」は20都市32公演で累計30万人を動員した。今回のツアーはそれを大幅に上回る規模が見込まれており、『CHOOM』はこのツアーの「セットリストの核」として機能することになる。
| 項目 |
前回ツアー(HELLO MONSTERS) |
今回ツアー(2026-27) |
| 対象大陸 |
アジア・北米(2大陸) |
5大陸(アジア・北米・南米・欧州・オセアニア) |
| 都市数 |
20都市 |
未発表(大幅増の見込み) |
| 公演数 |
32公演 |
未発表 |
| 動員数 |
累計30万人 |
未発表 |
| 日本公演 |
複数都市 |
6都市(神戸・福岡・横浜・千葉・名古屋・大阪) |
『CHOOM』に仕込まれた3つの布石
ここまでの情報を整理すると、『CHOOM』には以下3つの布石が見える。
布石1:6人体制の「完成形」を示す
Rami不在は痛手だが、裏を返せば6人で「完全な作品」を作り上げることで、人数に依存しないグループの地力を証明する機会でもある。パワーボーカルではなくダンスを軸にしたことで、Ramiのボーカルパートの穴を構造的に回避しつつ、6人の身体表現で魅せる設計になっている。
布石2:フィジカル販売の爆発力を仕込む
15形態展開×5月3日までの予約期間という設計は、初週売上の最大化を明確に狙っている。2026年10月にフルアルバムのリリースが噂されるなか、ミニアルバムの段階でファンダムの購買力を測定し、フルアルバムの形態数・生産量を最適化するためのテストマーケティングという側面もある。
布石3:ツアーの「世界共通言語」を作る
「ダンス」は言語の壁を最も低くするパフォーマンス形式だ。5大陸ツアーで初めて韓国語圏外の観客と大量に対面するBABYMONSTERにとって、言葉よりも身体で伝わる楽曲は戦略的に正しい選択といえる。アルバム名自体が「踊り」であることは、ツアーのコンセプトとの一貫性を担保している。
BABYMONSTERは『CHOOM』で何を賭けているのか
『CHOOM』は単なる3rdミニアルバムではない。Rami不在という制約を逆手に取ったコンセプト設計、YG史上最多15形態によるフィジカル戦略の刷新、そしてデビュー2年目にして5大陸を巡るツアーへの接続――すべてが「BABYMONSTERを世界規模のグループに引き上げる」という一点に収束している。
パワーで圧倒するフェーズから、パフォーマンスで魅了するフェーズへ。『CHOOM』はその転換点を刻むアルバムになるだろう。2026年5月4日のリリース、そして6月のツアー開幕を待ちたい。
情報元:YGエンターテインメント公式、Weverse公式通知、allkpop、Soompi、音楽ナタリー、Kstyle
※本記事は2026年04月19日時点の情報です
関連記事:K-POPアイドルのガラス肌完全ガイド2026
関連記事:K-POPアイドルのガラス肌完全ガイド2026