訴訟の経緯:2025年から続く長期法廷戦
2026年4月10日現在、NewJeansのメンバー5人(ミンジ、ハニ、ダニエル、ヘリン、ヒョイン)が所属事務所ADOR(All Doors One Room)を相手取った法的措置は、開始から約1年が経過した。2025年初頭の専属契約効力停止仮処分申請に端を発し、2025年末にはソウル中央地方裁判所が一部の仮処分を認める決定を下した。2026年に入って本訴訟へと発展し、第3回口頭弁論が2026年3月末に終了。次回期日は2026年5月下旬に設定されており、K-POPファンと業界関係者の注目を集めている。
争点:「不当な契約条項」vs「債務不履行」
メンバー側が主張する核心は、ADORによる収益配分の不透明性と、グループの音楽的方向性に関する一方的な変更要求だ。グローバルツアーおよびマーチャンダイジング収益の詳細な明細開示をADOR側が拒否しているとメンバー側は主張する。また、デビュー当初の民・学一体型コンセプトからの方向転換をレーベル側が求め、創作活動の自律性が侵害されたとも訴えている。さらに、親会社HYBEの経営介入が事実上ADORの意思決定を支配しており、メンバーとの間に実質的な力の不均衡があったとする論点も争点のひとつだ。
一方ADOR側は、メンバーによる契約義務不履行(スケジュール拒否、プロモーション活動の停止)を根拠に反訴を準備中とされており、法廷は「双方が加害者かつ被害者」という複雑な構図を呈している。
2026年3月末の口頭弁論で浮上した新展開
3月28日に行われた第3回口頭弁論では、メンバー側弁護団がADOR内部のSlackメッセージとされるデータを新証拠として提出し、波紋を広げた。同メッセージにはグループの特定メンバーに関するネガティブな評価が幹部間でやり取りされていたとされる内容が含まれるとされ、ADOR側は「文脈を切り取った誤解を招く提示」と反論した。裁判所は証拠の採否について2026年5月の次回期日までに判断を示す方針だ。
業界への波及効果:「アーティスト権利保護」議論が加速
この訴訟はNewJeansとADORの二者間問題にとどまらず、韓国芸能界全体の契約慣行に対する問い直しを促している。韓国音楽産業協会(KMIA)は2026年2月、標準専属契約書の改訂ワーキンググループを発足させており、収益開示義務の明確化とアーティストの創作的自律性に関する条項の追加が検討されている。改訂版は2026年下半期の施行を目標としているが、業界関係者の間では「NewJeans裁判の判決が改訂内容に直接影響する」との見方が強い。K-POP全体のイベント契約・マネジメント構造にも変化をもたらす可能性がある。
メンバーの現状:活動停止が長期化
訴訟継続中、NewJeansとしてのグループ活動は事実上停止している。複数のメンバーがSNSでの発信を続けているものの、音楽活動に関する公式発表はない。業界内では「判決が確定するまで新たな所属先との交渉も難航する」との見方が有力だ。日本を含む海外ファンコミュニティでは支持の声が根強い一方、長期化する法廷闘争に疲弊感も広がっている。
次のターニングポイント:5月の期日と夏の判決見通し
法曹関係者によれば、2026年5月の口頭弁論で証拠の採否が確定すれば、早ければ2026年夏に一審判決が下される可能性がある。ただし双方が控訴する可能性が高く、最終的な決着には数年単位の時間が必要との予測もある。NewJeansの未来、そしてK-POP業界の契約慣行の行方を左右するこの訴訟から、2026年も目が離せない状況が続く。
HYBE公式の立場と株主・投資家への影響
HYBEは訴訟に関して「裁判所の判断を尊重し、適切に対応する」との公式コメントを繰り返すにとどめており、具体的な内容には言及を避けている。2026年1月発表のHYBE第4四半期決算説明会では、機関投資家からNewJeans訴訟の長期化リスクについて複数の質問が寄せられ、CFOが「訴訟関連費用の計上を行っているが、事業への重大なインパクトは現時点では想定していない」と回答した。一方、韓国内の芸能専門法律家は「ADORが実質的にHYBEの支配下にある構造が法廷で認定された場合、HYBEグループ全体のアーティスト管理体制に見直し圧力がかかる可能性がある」と指摘しており、企業統治上のリスクとしても注目されている。
各メンバーの2026年個別活動状況
グループ活動が停止している現状でも、メンバーは各自のSNSアカウントを通じてファンとの関係を維持している。ミンジはファッション・ビューティブランドとの個人的なコラボレーション投稿を続けており、韓国外のファンからも高い関心を集めている。ハニはオーストラリアとのルーツを活かした英語圏向けコンテンツの発信を強化。ダニエル、ヘリン、ヒョインの3人もそれぞれSNSでの存在感を保っている。複数の韓国メディアは「判決後を見据えた個人活動の地盤づくり」と分析しているが、メンバー側の事務所はコメントしていない。
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情報元:ソウル中央地方裁判所公開記録、韓国音楽産業協会(KMIA)発表資料、各種韓国メディア報道(Star News、Naver芸能、Dispatch)をもとに編集部が構成。※本記事は2026年04月10日時点の情報です。


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