前回の記事では、XGというグループの全体像を「完全ガイド」としてご紹介しました。今回はシリーズ第2弾として、彼女たちの魅力の核心であり、「一度見たら忘れられない」と言わしめる圧倒的なパフォーマンスに焦点を当て、その秘密を徹底的に分析していきます。なぜ彼女たちのステージは「異次元」「レベルが違う」とまで言われるのでしょうか。その答えは、メンバー一人ひとりの卓越したスキルと、それが融合した時に生まれる驚異的なケミストリーに隠されています。本記事では、特に彼女たちの大きな武器である「ラップ」と「ダンス」を深掘りしていきます。
第1章:「GALZ XYPHER」に見る、XGラップラインの衝撃
XGのアイデンティティを語る上で、まず避けては通れないのがラップです。彼女たちのラップは、単に「上手い」という言葉では片付けられません。そこにはヒップホップカルチャーへの深いリスペクトと、それぞれの個性が爆発する「本物」のスキルが存在します。
なぜXGのラップは「本物」と言われるのか?
その理由は大きく3つあります。まず、全編英語のリリックをネイティブと遜色ないレベルで乗りこなす語学力。次に、複雑なライム(韻)やフロウ(歌いまわし)を自在に操る技術力。そして最後に、表面的な模倣ではない、ヒップホップの歴史や文脈を理解した上での表現力です。この3つを兼ね備えているからこそ、彼女たちのラップは世界中のヘッズ(熱心なヒップホップファン)をも唸らせるのです。
JURIN (ジュリン) – 統率する女王のフロウ
リーダーでもあるJURINのラップは、グループのパフォーマンスに安定感と格をもたらします。彼女のフロウは、一音一音が非常にクリアで聞き取りやすく、どんなビートの上でも決して揺らがない、どっしりとした重みがあります。まるでグループの土台を築くかのように、楽曲全体のトーンを決定づける重要な役割を担っています。その堂々としたステージプレゼンスは、まさに「女王」の風格です。
MAYA (マヤ) – 変幻自在のトリックスター
MAYAのラップは、まるで弾むボールのように予測不能で遊び心に満ちています。彼女は、リズミカルでトリッキーなフロウを得意とし、聴く者を一瞬で彼女の世界に引き込みます。クールでアグレッシブなラップから、メロディアスで歌うようなラップまで、楽曲によって全く違う顔を見せるその多彩さは、XGの音楽に豊かな彩りを与えています。彼女のヴァースが始まると、曲の雰囲気がガラリと変わることも少なくありません。
COCONA (ココナ) – 魂を揺さぶる鬼才マンネ
グループ最年少のCOCONAは、その年齢からは想像もつかないほどのパワフルで攻撃的なラップを繰り出します。彼女の魅力は、その独特な声質と、感情をそのまま叩きつけるかのような生々しい表現力にあります。テクニカルでありながら、どこか危うさを感じさせる彼女のラップは、楽曲に強烈なインパクトと緊張感をもたらします。まさに「鬼才」と呼ぶにふさわしい存在です。
伝説のパフォーマンス「GALZ XYPHER」
この3人のスキルの高さを最も端的に示したのが、YouTubeで公開されている「GALZ XYPHER」というパフォーマンス映像です。これは、ラッパーが次々とマイクを回していく「サイファー」形式のコンテンツで、JURIN→MAYA→COCONAの順で三者三様の圧巻のパフォーマンスを披露しています。まだ見ていない方は、まずこの動画を見ることを強くお勧めします。彼女たちの「本物」のスキルが、そこにはっきりと刻まれています。
第2章:「シンクロ率100%」 – 異次元のダンスパフォーマンス
XGのステージを語る上で、ラップと双璧をなすのがダンスです。彼女たちのダンスは、ただ揃っているだけではありません。その精度とパワー、そして表現力は、見る者に鳥肌が立つほどの衝撃を与えます。
7人が1人に見える「カル群舞」の秘密
カル群舞(カルグンム)とは、韓国語で「刀のように鋭く揃った群舞」を意味する言葉です。XGのパフォーマンスは、まさにこの言葉を体現しています。7人の腕の角度、指先の向き、髪の毛の揺れに至るまで、全てが計算され尽くしたかのようにシンクロします。この驚異的なシンクロ率の背景にあるのが、デビュー前の約5年間という長い準備期間です。共同生活を送りながら、来る日も来る日もトレーニングを重ねることで、彼女たちは互いの呼吸や動きを完璧に理解し、一心同体のパフォーマンスを完成させたのです。
強さと優雅さの共存
XGのダンスのもう一つの特徴は、圧倒的な「強さ(パワー)」と、女性らしい「優雅さ(グレース)」が共存している点です。HIPHOPベースの力強い振付では、体の軸が全くブレないパワフルな動きを見せつけますが、一方でR&B調の楽曲では、バレエ経験者であるHINATAを中心とした、流れるようにしなやかな動きで魅了します。この緩急自在な表現力が、彼女たちのパフォーマンスを単調にさせず、芸術の域にまで高めています。
ケーススタディ:「SHOOTING STAR」と「WOKE UP」の振付比較
彼女たちのダンスの幅広さを理解するために、2つの代表曲を比較してみましょう。
楽曲 | SHOOTING STAR (2023) | WOKE UP (2024) |
---|---|---|
ジャンル | ドリームポップ / R&B | ヒップホップ / トラップ |
ダンスの特徴 | 宇宙を浮遊するような無重力感のある動き。流線的で優雅なフォーメーションが多用される。 | 地面を揺らすような重低音に合わせた、パワフルでアグレッシブな動き。HIPHOPの基本に忠実なステップが多い。 |
表現しているもの | 夢を追いかける少女たちの希望と浮遊感 | 常識を打ち破るという強い意志と反骨精神 |
このように、楽曲のテーマに合わせて全く異なるスタイルのダンスを完璧にこなす能力こそ、XGがトップパフォーマーと呼ばれる所以です。
第3章:パフォーマンスを支えるボーカルライン
これほどまでに激しいパフォーマンスを繰り広げながら、XGの音楽のクオリティが少しも落ちないのは、CHISAとJURIAという2人の強力なメインボーカルが存在するからです。彼女たちの安定した歌唱力は、グループのパフォーマンス全体にしっかりとした背骨を通しています。特にCHISAの突き抜けるようなハイトーンボイスと、JURIAの温かみのあるボーカルは、XGの楽曲に欠かせない要素です。ラップとダンスという強烈な武器を、彼女たちの歌声がしっかりと支えているのです。

まとめ:スキルと情熱の結晶、それがXGのパフォーマンス
XGのパフォーマンスが「異次元」と称される理由は、メンバー一人ひとりが持つワールドクラスのスキルと、5年という歳月をかけて培われた揺るぎないチームワークの結晶だからです。ラップ、ダンス、ボーカル、そのすべてが互いを高め合い、一つの生命体のようにステージ上で爆発する。それが、私たちを魅了してやまないXGのパフォーマンスの正体です。
彼女たちの真の魅力は、やはりライブでこそ最大限に輝きます。現在開催中のワールドツアーや、今後の音楽番組でのパフォーマンスも絶対に見逃せません。彼女たちの「本物」のステージを、ぜひその目で確かめてみてください!
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